ごあいさつ
常磐教会に招聘され、大阪からいわきに来ました。32年前の春、この先自分はやって行けるのだろうかと不安を感じながら、朝一番の新幹線に乗って仙台を発ち、京都に向かったことを想い出します。それ以来の東北です。生まれは盛岡で、二度の学生時代・通算7年間を仙台で過ごしましたけれども、福島は初めてです。ただ、夏に役所の窓口へ行くと、多くの職員がアロハシャツ姿だったりなんかして、なんだかちょっと不思議な気持ちになります。
2011年3月11日には四国の高知に住んでいて、その後12年間を大阪で暮らして来ました。いわきに来て、いろんな方々からのお話を少しずつ聴く機会があります。でも、共感することの難しさを改めて思い知らされています。相手の中に見えない傷のような何かを感じることがあったとしても、その傷の大きさや深さを知ることができません。違いはあっても、激しい揺れを経験されたすべての方々にとって、それまでの生活が一変するような出来事が今に至るまで起こり続けているという事実さえ、そもそもわたし自身の中になかなか定着しません。知り続けることができるかどうか、想像し続けることができるかどうか、問われているのだと思っています。
でもわたしには教会があります。わたし自身にとって力づけられる場です。聖書を通して、イエスという人と、イエスが直接に・間接的に関わりを持った人々との間で起こる出来事を、みんなで分かち合い味わうことで、ただの一人の人間として、いま・ここで生きる力が与えられます。「根拠のない楽観は禁物です」。でも、主が共にある教会で与えられる力が、きっと何とかしてくれることでしょう。わたしはそう信じています。
みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
2024年9月30日 山田有信